001


[Navy]

アンコール遺跡群観光の拠点となるCambodiaのSiem ReapへはBangkokからおよそ1時間。一面に広がる森林の中に西バライが見えてくる。小型旅客機を降りて、地面に足をつけるとむっとした熱気が伝わる。そのまま歩いてターミナルビルへ行き、事務机が並んだだけの入国審査と税関を手早く抜けると、Police数人が両替えはあっちだとか、タクシーかバイタクシーかといささか客引きのようによってくる。無視してそのまま一歩建物からでると、そこには数十人のバイタクシーの運転手が待ち構えていて、わっとよってきた。これはうかつだったとニ歩戻る。Policeにバイタクシーで街まで行きたいのだがと話すと、群がる運転手の中からひとりの運転手を選んでくれた。街までUS$1。およそぼってるとも思えないのでその運転手の後ろに乗る。

空港から街の中心までバイタクシーで10分ほど。彼は俺が日本人だとわかると、カタコトの日本語を話しはじめた。まだ勉強をはじめたばかりだとか。
以下Dは運転手、Tは俺。もちろん英語をまじえての会話だ。

D:「名前はなんといいますか?」
T:「Toshikiだ。」
D:「ここにはどれだけいますか?」
T:「4日いるつもりだ。」
D:「今日は案内してあげます。」
そうだ、バイタクシーをチャーターしなければ。Siem Reapの街の中心からアンコールワットまでおよそ7km。その他無数の遺跡があちこちにちらばっている。バスなどはないのでバイタクシーかタクシーを使うことになるが、いちいち値段交渉は面倒なので、ここではチャーターしてしまおうと決めていた。
T:「1日いくらで案内してくれるんだ?」
D:「US$6です。」
T:(うーん無難だな、ここではぼるということはしないのだろうか...)
T:「4日間だといくら?」
D:「...US$25です。」
T:(なんで高くなるんだよ、算数苦手だな...)
T:「US$20でどう?」
D:「...........いいです。」
彼は今一つ解せない様子だった。いいですと言ってしまったものの、その値段が妥当かどうか計算が追い付いていないようだ。後ろでその様子を見て、こいつ面白いじゃんとか思ってあっさりお願いすることにした。

そんなわけで俺はここSiem Reapで4日間彼と過ごすことになる。痩せ細った彼の名はNavy(ナヴィ)といった。25歳で彼女が欲しい今日この頃だとか...。


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